トラックボール+マイコンモジュール「picot5400」に関するアップデート

トラックボール+マイコンモジュール「picot5400」に関するアップデート

前回の記事から時間が経ってしまいましたが、販売開始に向けた目途が立ちましたのでお知らせします。

はじめに

picot5400の概要については、こちらの記事で紹介しています。 

その後開発を進める中で、何点か変更・改善が施されているので、それらを中心に紹介したいと思います。まずはモジュールの主な特徴ですが、変更した部分を太字にしています。

  • マイコンはRP2040を採用
  • トラックボール用のマウスセンサーとしてPMW3360を採用
  • USBとの接続は、オンボードのTypep-Cコネクタ、もしくはJSTケーブルを用いてUnified Daughter Boardと接続
  • 最大23本のGPIOを引き出し可能
  • 24ピンフレキシブルフラットケーブルで他の基板と接続可能
  • 外形は38×38mm(2u×2u)キーボードの配列に馴染ませやすいサイズ感
  • ベアリングローラー支持のボールケース(2ピース構造)
  • ファームウェアはマトリクス部分をinfo.jsonに記述するのみで動作可能
  • [NEW!] 分割キーボードへの対応
  • [NEW!] 設計者向けのデザインガイドの公開

 

USB接続

前回の記事では、モジュールにUSBコネクタは載せずにドーターボードで接続する方式として紹介していました。一方で、このモジュールを用いて比較的小さいデバイス(トラックボールマウス等)を設計する際に、ドーターボードの設置と配線の取り回しが課題になることがずっと頭の片隅に引っかかっていました。時間を置いて再設計をすることになったタイミングで、USBコネクタもドーターボード用のJSTコネクタも両方設置する方向に舵を切りました。結果としてはこのようなミニマルなトラックボールの設計も可能になったので、対応できるデザインの幅が拡がったと思います。

  

GPIO本数と接続方法

 前回の記事ではコンスルーでの接続を前提とした2.54mmピッチスルーホールで―開発を行っていました。一方で、海外ではコンスルーの入手性が良くないこと、コンスルーを用いた場合にキーマトリクス用PCBとの高さ関係に制約が生まれてしまうことなどから、より自由な設計を可能にするべく24ピンのフレキシブルフラットケーブルでの接続に変更を加えました。FFCを採用しない小型デバイス用にも、8ピン(GPIO×7+GND×1)のスルーホールを設けています。

トラックボールのセンサー基板とキーマトリクス基板の接続をケーブルとすることで、ガスケットマウントなど柔らかいマウント方式を採用した場合でもセンサー・ボールの沈み込みを気にする必要がなくなります。また、センサー基板をケースの底面に固定することで、ボールとキーキャップの高低差を軽減することも可能です。

 

 トラックボールケース

ベアリングローラー支持という点は変わっていませんが、ローラーの支持方法を変更しました。以前は3Dプリント製の脚部にねじとナットでローラーを固定するという方式でしたが、パーツの製造誤差によっては脚部やねじがベアリングローラーの外輪に触れてしまい、スムーズな回転を得られない可能性がありました。

今回新たに採用した方式では、内輪と軸を固定し、軸を脚部に嵌め込むようにすることで、内輪を固定しつつ外輪が他のパーツに接触するリスクを低減しています。

分割キーボードへの対応 

これは新たに取り入れた要素になります。picot5400を分割キーボードのマイコンとして使用することで、簡単に両手トラックボールの分割キーボードが設計できることを目指しました。USB_VBUS_PINをpicot5400上に設けるようにしたので、Master/Slaveの検知が容易になります。

設計者向けのデザインガイドの公開 

picot5400を用いたキーボードを設計する方に向けて、設計の際に留意する点をまとめたデザインガイドを公開しました。

これを読んでpicot5400でトラックボール付キーボードの設計にぜひ挑戦してみてください。 

picot5400 Design Guide

最後に 

picot5400、およびpicot5400を活用したキーボードpicot_O44、picot_R40のプレオーダーを開始しました。下記ページより購入できます。発送予定時期は2024年12月を予定しています。

picot_O44

picot_R40

picot5400

 

この記事はpicot_O44で書きました。

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